クライアントが動かない本当の理由|元教頭が27年で見つけた「動く人・動かない人」の違い
ティーチングもした。
コーチングも試した。
それでも、動けない。
あるクライアントさんのことが、頭から離れませんでした。
やることは伝えている。理由も説明した。小さなステップにも分解した。
でも動かない。
- 私の力が足りないのか
- このクライアントとは合わないのか
正直、そう感じた時期があります。
でも、向き合い続けた先に、見えてきたものがありました。
問題は、方法ではありませんでした。
本人も気づいていない、マインドブロックだったのです。
もう一歩進むことへの恐れ。
自分の弱さと向き合うことへの抵抗。
これまで抱えてきた不要な観念を手放す怖さ。
ここを認め、乗り越えなければ、絶対に次のステージには行けません。
それぐらいのことをしないと、人生は変わらない。
この記事では、私が教師として27年、監督として13年、そしてビジネスコーチとして実際に体得した、マインドブロックを超えてクライアントが動き出すための3つのアプローチをお伝えします。
「何をするか(What)」はすでに知っている方へ。
「なぜ動けないのか(Why)」を、一緒に考えていきましょう。
アプローチ①「なぜ?」を3回掘り下げる
——マインドブロックに気づかせる入口
マインドブロックの厄介なところは、本人が気づいていないことです。
「分からないから動けない」と言っているクライアントの多くは、実は「分かっているけれど怖くて動けない」状態にあります。でも、本人はそれに気づいていない。
だから、掘り下げるしかありません。
教師時代、私がもっとも時間をかけていたのが、「総合的な学習の時間」の課題設定の場面でした。
普通なら、2,3時間程度で段取りよく進めます。
でも私は、そこに一番時間をかけていました。
本人の内側から湧き出た課題でなければ、探究するガソリンが途中で切れるからです。
- 先生が決めた課題
- 親が望む課題
- 社会的に「正しい」課題
どれも最初は動けます。でも必ず止まります。
「やらされ感」で動く人間の行動は、外からの圧力がなくなった瞬間に止まる。
子供も大人も、まったく同じです。
だから私はしつこく問い続けました。
- 「なぜそれを知りたいの?」
- 「なぜそれが気になるの?」
- 「なぜ自分がそれをやらなければならないと思うの?」
この「なぜ?」を3回、4回、5回と繰り返すうちに、最初の答えは消えていきます。
その奥から、「本当に自分がやりたいこと」が姿を現す。
その瞬間の子供の目は、さっきまでとまったく違います。
- 目が輝く
- 声が変わる
- 背筋が伸びる
ビジネスコーチングでも、この瞬間が訪れます。
ただし、そこに辿り着くには「聴き方」が重要です。
クライアントの話を聴きながら、次の返しを考えながら聞いてはいけません。
それは「聴く」ではなく「聞く」。自分の都合のよい部分を切り取っているだけです。
クライアントの話を聴くとは、「耳+目+心」、身体全体を耳にして聴くことです。
コーチの落ち着いた姿勢から、クライアントは悩みを自ら深く掘り下げていきます。
そして「悩みをコーチが共有してくれた」と感じることで、安心感が生まれる。
この安心感が、マインドブロックに気づくための最初の土台になります。

アプローチ②「即断即決即行動」だけを評価する
——動くことで、自分の恐れが見えてくる
マインドブロックは、頭の中だけで向き合っても超えられません。
動いてみて初めて、「自分が何を恐れているか」が見えてくるからです。
全国大会の決勝戦。
どんな選手でも、その場面では緊張します。
- 頭が真っ白になる。
- 体が言うことを聞かない。
- 練習でできていたことができなくなる。
私が監督として長年チームに伝え続けてきた方針があります。
「何をしてもいい。ただ、即断即決即行動だけを評価する」
全国大会の決勝戦で、「考えながらプレーする」ことはほぼ不可能です。
考える時間はコンマ何秒もない。
体が反射的に動ける状態でなければ、当たり前のプレーすらできなくなる。
練習から「正しい答えを出してから動く」習慣がついている選手は、本番で止まります。
逆に「とにかく即座に判断して動く」習慣がついている選手は、本番でも動けます。
そして即断即決即行動で動くと、「今できること・できないこと」が自分でも明確になる。
できていないことが分かれば、必ず直せる。
自分の弱さと正面から向き合えるようになる。
これがビジネスコーチングで言う「マインドブロックを超える練習」です。
- まだ準備が足りない
- もう少し勉強してから
- 自信がついたら動く
このパターンのクライアントに必要なのは、追加の情報ではありません。
「とにかく動いてみよう。その結果を一緒に見ていこう」という評価軸を渡すことです。
うまくいかなかった時は「うまくいきませんでしたね」と温かくフィードバックを返してください。
コーチのあなた以上に、クライアントはうまくいかなかったことを分かっています。
褒めるなら、結果ではなく「動いたこと」を褒めて認める。
叱責は禁止です。一度これをすると、コーチとクライアントの間に上下関係が芽生え、ビクビクとワクワクが入れ替わります。
ワクワクできないビジネスが、うまくいくはずがありませんからね。
うまくいかない時こそ、コーチ自身のサポートを見直すチャンスだと、私は思っています。
アプローチ③「必要の充足」まで待つ
——手放す覚悟は、外から与えられない
マインドブロックを超える最後の壁は、「手放す覚悟」です。
- これまで抱えてきた観念
- 安定への執着
- 失敗への恐れ
それらを手放すのは、かなり怖いことです。
でも、それぐらいのことをしないと、人生は変わらない。
問題は、この覚悟は外から与えられないことです。
ビジネスコーチとして独立した当初、私はある癖を持っていました。
「クライアントが困ったとき、すぐにアドバイスしようとしていた」
でもそれをやり続けると、あるパターンが生まれました。
- アドバイス通りに動く
- でもすぐに止まる
- また聞いてくる
- また動く
- また止まる。
依存関係が生まれ、クライアントは自分で覚悟を決める機会を失っていたのです。
だから私は方針を変えました。
「話をじっくり聴く。本人が『何が分からないか』が分かるまで、聴き続ける」
クライアントの「分からない」という言葉は、大きなチャンスです。
コーチであるあなたを信頼しているからこそ出てくる言葉だからです。
こんな時は、こう言ってあげてください。
「分からないことを、一緒に分かるようにしていきましょう」と。
失敗した時、挫折した時は特に、徹底的に待ちます。
なぜか。
人は、必要感を得た時に受けたアドバイスは、一生忘れません。
必要感が高まっている時こそ、人は想像以上のパワーとアイデアを自分の内側から生み出します。
コーチが先に答えを出してしまうと、その機会を奪ってしまいます。
自分で生み出した答えだからこそ、人は動けます。
そして手放す覚悟も、自分の内側から生まれた時だけ、本物になります。
これが私が「365日・24時間のチャットサポート」をしている本当の理由です。
必要感が高まっているその瞬間を、逃してはいけない。
もったいないです。

おわりに
3つのアプローチをまとめます。
→「耳+目+心」で聴き、本人も気づいていないマインドブロックを自覚させる入口をつくる。
→ 動くことで自分の恐れが見え、弱さと向き合える体質を育てる。
→ 手放す覚悟は外から与えられない。その瞬間を守るために、じっくり聴き、待つ。
これらはすべて、教育現場・スポーツの場・ビジネスコーチングで実際に体得したものです。
- 人はイメージできないことは行動できません。
- 人は可能性を感じることで行動できます。
もう一歩進むことへの恐れ、自分の弱さと向き合う痛み。クライアントが感じているそれは、本物です。
だからこそ、コーチであるあなたが、その恐れに寄り添い、待ち、一緒に超えていく存在でなければなりません。
「方法」を渡すのではなく、「覚悟が生まれる瞬間」を守る。
それがコーチの、最も深い仕事だと、私は思っています。
もし「分からないまま進ませない伴走で、クライアントの覚悟が生まれる瞬間を一緒に守りたい」と感じた方は、私のサポート内容をご覧ください。
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