コーチング起業で自信がない方へ|教わり、試し、「できた」を重ねる

これまでの経験を活かして、人の役に立つ仕事をしたい。
でも、コーチングで起業すると考えると、急に分からないことが増えてくる。
何から始めればよいのか。
教わったことを、自分にもできるのか。
人を支える仕事として、お金をいただけるようになるのか。
先が見えないと、自信を持とうとしても難しいものです。
そんなとき、最初から一人で答えを出せなくても構いません。
まだ知らないことは教わり、できるところから試し、その結果を確かめる。そうやって、自分で判断できることを増やしていけます。
私は教員として27年、ドッジボールの監督として13年、人を育てることに携わってきました。
その経験から、起業初心者への支援でも大切にしている、教えることと問いかけることの組み合わせをお伝えします。
分からないことは、具体的に教わっていい
コーチングは、対話や問いかけを通して、本人の考えや選択を整理する関わりです。
ティーチングは、必要な知識や手順、取り組むときのコツを具体的に教える関わりです。
どちらも、人が前へ進むために使えます。
ただ、初めて取り組むことには、考えるための材料そのものが足りない場合があります。
たとえば、体験セッションを一度もしたことがない方が、いきなり「どんな流れにしたいですか」と聞かれても、思い浮かばないかもしれません。
その場合は、まず基本的な流れと、それぞれの場面で何を確かめるのかを知る。
そのうえで、自分ならどんな相手に、何を届けたいのかを考えていきます。
私は、初心者の段階では、このように具体的に教える部分を大切にしています。
何のためにするのか。
どこまでできれば、次へ進めるのか。
困ったときは、何を確かめればよいのか。
そこが見えると、漠然とした不安の中にも、取り組めることが見つかります。
分からないことを、分からないと言ってよい。
教わりながら始めてよい。
その土台があることは、起業の準備を進めるうえでも大切です。
「5段なら跳べそう」が生まれるまで
教員時代、6段の跳び箱が跳べない子に対して、私がまず目指したのは、「4段もうつまらない」と言える状態でした。
低い段を跳べたら、すぐ次へ進ませる。
それだけでは、まだ不安が残ることがあります。
4段を繰り返し、自分でできるという感覚を確かにしていく。
すると、「5段なら跳べそう」という気持ちが生まれてきます。
この「次ならできそう」が大事なんです。
遠くから6段を眺めていたときには見えなかった可能性が、4段を跳ぶ経験を通して見えてくる。
次の一歩を、自分のこととして考えられるようになるのです。
起業でも、初めての商品づくりや、お客様との対話を前にすると、完成した姿が遠く感じられることがあります。
そのときは、今の自分が取り組める大きさに分けてみる。
一つできたことを足場にして、次に取り組むことを考える。
小さく始める意味は、自分にもできると確かめながら、進める範囲を広げることにあります。
やってみた後に、直す場所が分かる
やり方を教わっても、最初から思いどおりにできるとは限りません。
自分ではできたつもりでも、抜けているところがあるかもしれません。
そこで必要なのが、やってみたものを見てもらい、できているところと直すところを具体的に知ることです。
これをフィードバックと呼びます。
先ほどの体験セッションなら、基本的な流れを知った後で、まず冒頭のやり取りだけを練習してみる。
最初に何を伝えるのか。
相手の相談したいことを、どんな言葉で確かめるのか。
実際に話してみれば、説明が長くなったり、質問が伝わりにくかったりする箇所が見えてきます。
そこを一つ直して、もう一度試す。
前より伝わりやすくなれば、自分が変えたことと、その結果を結びつけて考えられます。
もちろん、練習ができたことと、契約や売上につながることは別です。
それでも、お客様と向き合うために身につけることが具体的になり、次の練習を選べます。
私は、初めてのことほど、取り組んだ後に早めに確かめられる関わりを大切にしています。
分からないまま同じことを繰り返す時間を、少しでも減らしたいからです。
「できた理由」が分かると、次にも使える
具体的に教わると、何をすればよいかが見えてきます。
試してできることが増えると、次は自分の取り組みを振り返れるようになります。
ここで、問いかけが役立ちます。
「今週、何ができましたか?」
「それはなぜうまくいったと思いますか?」
この問いに答えるとき、本人は、自分がしたことや工夫したことを振り返ります。
ただ褒めてもらうだけでなく、自分で「ここを変えたから伝わった」「この順番なら取り組めた」と分かる。
その理解が、次に試すときの手がかりになります。
私は、教えることと問いかけることを、こうして組み合わせたいと思っています。
分からないところには、必要な知識や手順を届ける。
試したことには、具体的にフィードバックする。
できたところは、本人がその理由をつかめるように問いかける。

型を学んでも、あなたの経験は活かせる
基本の型を教わると、自分らしさがなくなるのではないか。
そう心配する方もいるかもしれません。
でも、話す順番を学ぶことと、何を話すかまで同じにすることは違います。
誰の話に心が動くのか。
自分のどの経験が、相手の役に立つのか。
どんな言葉なら、自分の実感を込めて伝えられるのか。
そこには、その人が生きてきた経験が表れます。
型があることで、手順に迷う負担を減らし、相手の話や自分が届けたい内容に力を注げることもあります。
これまで、後輩に仕事を教えたり、誰かの相談に乗ったりしてきた方なら、思い出してみてください。
相手に合わせて説明を変えたこと、小さな進歩を一緒に喜んだことはなかったでしょうか。
その経験には、人を支える仕事へ活かせる材料があるかもしれません。
仕事として提供するために学ぶことを、一つずつ足していけばよいのです。
今の自分に必要な学びを、一つ見つける
今、やってみたいけれど止まっていることを、一つ選んでみてください。
- やり方が分からないなら、必要な手順や例を教わる。
- 一度に取り組むには大きいなら、一部分だけ試す。
- 試したけれど判断できないなら、具体的に見てもらう。
- できたことがあるなら、何がよかったのかを振り返る。
自信がない、という一言の中にも、いろいろな状態があります。
今の自分に足りないものが分かれば、次に求める支援も具体的になります。
初めから、起業の先のすべてが見えていなくても構いません。
まず一つ教わり、試し、できたことと次の課題を確かめる。
跳び箱の4段から、5段が見えてきたように。
今の自分が取り組めるところから、少し先の景色を見つけていきましょう。







