「この人だからできた」で止まる人へ|先に始めた人の、過程を見る

人を育ててきた経験を、これからの仕事に活かしたい。
そう思って情報を集めると、すでに起業している人の姿が目に入ります。何をしているのかは分かる。でも、自分がそこに立つ姿は、まだ想像できない。
「この人だからできたのでは」。そこで止まってしまうことがあります。
起業前の私も同じでした。身近に起業した人の姿がないまま、知らない世界へ進むことに不安がありました。
この記事では、その後に分かったことをもとに、先に始めた人から何を学び、自分の一歩につなげるかをお伝えします。
起業は、遠い世界の話だと思っていました
私は27年間、教員として働き、49歳で早期退職しました。50歳でコーチング起業をしました。
学校で人を育てることには、長く向き合ってきました。でも、自分で商品をつくり、お客様に選んでいただく仕事は初めてです。
教員として積み重ねてきた経験があっても、起業の進め方まで分かるわけではありませんでした。
私にとって変化のきっかけになったのは、メンターの支援を受け、起業に取り組む人たちと接するようになったことです。メンターとは、経験をもとに相談や助言をしてくれる人です。
メンターのグループコンサルが、月に1回ありました。7、8人の集まりです。30歳前後の方から50代まで。私が最年長のグループで、多かったのは30代と40代の方でした。
同じ人たちと毎月顔を合わせて、起業の話を続けました。
それまで遠い世界に見えていた起業が、少しずつ身近になりました。
「自分にもできるかもしれない」。そう感じられたことが、私にとっていちばん大きな変化でした。
完成した姿だけでなく、そこまでの過程を見る
ただ、先に始めた人の売上や暮らしぶりを眺めるだけでは、自分が何をすればよいかは分かりません。
整ったホームページにも、最初につくったときがあります。今の商品になるまでに、内容や伝え方を見直しているかもしれません。
たとえば、体験談やブログを読むときには、次の3つに目を向けてみてください。
- 始めたときには、どんな経験や準備があったのか。
- 最初に何をして、どこでつまずいたのか。
- つまずいた後、何を変えたのか。
ここまで分かると、憧れの対象だった人の経験が、自分の行動を考える材料になります。
書かれていない部分は、分からないままで構いません。結果だけを見て、自分にも同じ結果が出ると決める必要はありません。
私自身も、起業前に同じことをしていました。
起業に関する本を10冊読み、共通点を探しました。何冊にも同じことが書いてあるなら、それが本質だろうと考えたからです。
YouTubeは3人に絞り、その方たちの動画をすべて見ました。メモを取り、概要をまとめ、自分のものにしようと丁寧に書き写しました。
このとき書いたノートが、その後どうなったかは、後半に書きます。
その人と同じ道ではなく、自分が試せる一歩を探す
人を育ててきた経験があっても、関わってきた相手や得意なことは、一人ひとり違います。
仕事に使える時間も、生活の事情も違います。先に始めた人の進め方を、すべて同じにする必要はありません。
たとえば、ある人の体験談に「以前、相談を受けたことを振り返り、仕事の手がかりを見つけた」と書かれていたとします。
その人と同じ商品をつくる必要はありません。自分も、これまでどんな相談を受け、どう関わってきたかを書き出してみる。その方法なら取り入れられます。
本気で人を育ててきた方には、その方なりに向き合ってきた場面があります。最初から立派な専門性として説明しようとせず、具体的な場面から振り返ってみてください。
経験を書き出すところから始めたい方は、こちらの記事を使ってみてください。

私も、手を動かしながら確かめてきました
起業初期の私は、1日に13時間ほどをビジネス構築に使っていました。
ただし、土曜日だけは完全にオフにしました。この日に絶対に仕事をしないようにするため、「家族DAY」をつくりました。妻と2人で出かける日を、先に予定としてブロックしておく。今も続けています。
セッションが土曜に入るときは日曜に移すなど、臨機応変にしています。それでも、この日だけはずっと大事にしてきました。
優先順位は、健康・家族・ビジネス。その順番を、言葉ではなく実際の予定で守るための日です。
夢中になって取り組んでいましたが、順調なことばかりではありません。
いちばん詰まったのは、コンセプトと商品づくりです。いったい、誰の、どんな悩みを解決するのか。
できそうなことが浮かんでは、これでは稼げないと考え直す。これがやりたいと思えば、先駆者が大きすぎて、今さらだと引き下がる。
私は、その迷う状態にすら至りませんでした。悩んで、悩んで、不安になって、恐怖心におそわれる。それを、行動することで掻き消していた日々でした。
正直、あの時期にもう一度戻りたいかと聞かれたら、戻りたくありません。それほど、私にとっては濃い時間でした。
それでも、自分の仕事を自分でつくっていく面白さがありました。
先に始めた人を見て感じた可能性を、自分でも手を動かして確かめていたのだと思います。
私が1日13時間を使ったことは、同じだけ時間をかければうまくいく、という意味ではありません。今の暮らしの中で、続けられる進め方を考えることも大切です。
最初の一歩を試してみると、できたことだけでなく、分からないことも具体的になります。
その分からないことを調べたり、相談したりして、次を考える。自信が十分にできるまで待つよりも、小さく確かめる方が進みやすいこともあります。
あのとき書いたメモだけが、今も役に立っています
本を10冊読み、YouTubeを3人分すべて見て、丁寧にまとめたノートの話に戻ります。
正直に書きます。あのとき覚えた知識も、まとめたノートも、起業してからはほとんど役に立っていません。
役に立っているのは、別のものでした。その日に何を思ったかを書いた、一日の感想のメモです。
あのときの感情は、あのときにしか感じられません。
時間が経つと、どうしても美化されてしまいます。うまくいかなかったことも、後から振り返れば「いい経験だった」で片づいてしまう。
初心忘るべからず、とはこのことだと思っています。
先に始めた人から学ぶことと同じくらい、今の自分を書き留めておくことには意味があります。それは、少し先の自分が読む一次情報になります。
今日、何を一つ確かめますか
起業した人の姿を見て、憧れる。その気持ちは、大切な出発点です。
そこからもう少し、その人が歩いてきた過程を見てみてください。そして、自分の今の状況で試せることを一つ選んでください。
今日、書き留めるなら、この3つです。
- 参考になった、先に始めた人の行動。
- 自分の状況でも試せそうなこと。
- 試してみて、確かめたいこと。
大きな決断を、一度に済ませる必要はありません。
私も、起業のことを何もかも分かってから始めたわけではありませんでした。分からないなりに取り組み、人の力も借りながら、自分の仕事をつくってきました。
あなたが人を育ててきた経験を、どんな仕事につなげられるか。まずは一つ、手を動かして確かめてみてください。
商品づくりを具体的に考え始めた方には、私が1か月悩みながら進めた過程を、こちらの記事にまとめています。








