50歳・何者でもない自分と向き合った180日【元教頭の実話】
教頭を辞めた翌朝のことは、今でも覚えています。いつもより少し遅く目が覚めました。
「あ、今日から行かなくていいんだ」
その感覚は、解放ではありませんでした。どこかぽっかりと、穴が空いたような感じでした。
散髪屋で言葉に詰まった日
退職してしばらく経った頃、新しい散髪屋に行きました。いつものように、理容師さんから聞かれました。
「お仕事は何をされてるんですか?」
私は言葉に詰まりました。
「前は小学校教員だったんですけど……」
その後に続く言葉が、見つからないのです。
- 27年間、毎朝「○○先生、おはようございます」と呼ばれ続けた私が。
- 管理職として数十名の職員をまとめていた私が。
- 全国制覇のドッジボール監督として表彰台に立った私が。
バーバーチェアで、自分が何者なのか答えられなくなっていました。
鏡の中の知らない人間
あの日の夜、布団の中で考えました。
「俺って、一体何者なんだろう」
- 名刺もない
- 肩書きもない
- 毎日通う職場もない
鏡を見ても、知らない人間がそこにいる。
妻が「お疲れ様」と言ってくれても、「何にお疲れ様なの?」そう思ってしまう、稼いでいない自分がいました。
40代・50代でキャリアチェンジした方なら、きっと共感していただける感情だと思います。
あの時の私は、「肩書き」と「自分」を混同していた。
「教頭の山近」はいなくなった。でも「山近克彦」という人間は、何も変わっていなかった。
それに気づくまでに、かなりの時間がかかりました。
1日13時間の情報収集・惨敗
退職前後の2ヶ月間、私は毎日13時間をノルマにビジネスを学んでいました。
- YouTube動画を観まくり、
- 起業本を読み漁り、
- ノートに情報をびっしり書き込む。
「完璧に準備ができたら始めよう」
「失敗しないよう、しっかり調べてから」
結果は惨敗でした。
膨大な情報に溺れ、不安と恐怖がどんどん膨らみ、何も前に進めませんでした。
今なら分かります。
情報を集めれば集めるほど、不安は大きくなる。なぜなら「〜すべき」という他人軸で動いていたからです。
- 起業家として成功すべき。完璧なサービスを作るべき。
- 失敗は許されない。すぐに結果を出すべき。
この「すべき思考」が、私を動けなくさせていたのです。
布団から出られなかった朝
起業4ヶ月目。
- 自分がしていることが分からない。
- 自分が存在している意義が分からない。
- 自分が何者か分からない。
「分からない」を繰り返し、布団から出られない朝がありました。
メンターに「山近さん、あなたは何をしたいんですか?すべきじゃなくて、したいことは何ですか?」と聞かれても、すぐには答えられませんでした。
ビジネスの結果を早く出さなければという執着心が強く、ますます苦しみました。
でも、少しずつ変わっていきました。
「〜すべき」から「〜したい」へ
自分と向き合っていく中で、少しずつ欲が見えてきました。
- 私は同世代の人を助けたい
- 私は自分の経験を活かしたい
- 私は誇りをもって生きたい
- 自分の力でどれぐらい稼げるか挑戦したい
「〜すべき」が「〜したい」に変わった瞬間、全てが動き始めました。
失敗は「してはいけないもの」から「したいことへの道筋」に変わりました。
完璧な準備なんて、幻想です。
30%の準備で十分。まずは動き出すことが大切だと、やっと腹に落ちた瞬間でした。
30%の準備で動き出した日
「本気なら、まず始めてください」
今、私がクライアントさんによく言う言葉です。
始めてみないと、本当のことは学べない。売ってみないと、本当のことは分からない。
あの180日の混乱があったからこそ、今この言葉を本音で言えます。
情報をいくら集めても、動かなければ何も変わりません。
どんなに1000の情報を集めても、1つの実体験には敵わない。
これは、教員27年間でも同じことを経験してきました。授業の前にどれだけ準備しても、子供たちと実際に向き合ってみないと分からないことがある。
ビジネスも、まったく同じでした。
あの混乱があったから、今がある
散髪屋で言葉に詰まったあの日から、そろそろ3年が経ちます。
今なら、バーバーチェアで堂々と答えられます。
「人の無限の可能性を引き出すコーチをしています」
この答えにたどり着くまで、結構な時間がかかりました。
でも、あの180日の混乱がなければ、今の私はいません。
肩書きを失って初めて、肩書きに頼っていない「本当の自分の価値」に気づけた。
布団から出られない朝があったからこそ、同じ場所で立ち止まっているクライアントさんに「その感覚、分かります」と本音で言えます。
「育てる力」は、肩書きがなくなっても消えない。
あなたもきっとそうです。
今、「自分が何者か分からない」と感じているなら、それは新しい自分に生まれ変わる前兆かもしれません。
まとめ
もし今のあなたが、「このまま定年を迎えていいのか」どこか心に引っかかりを感じているとしたら。あるいは踏み出したいのに、怖くて動けないでいるとしたら。
まず、この記事の続きを読んでみてください。




